はじめに
私が最初に手を出したフィルムカメラ「PENTAX MX」についてレビューしていきます。
機械式の一眼レフカメラの中では、世界最小のカメラ。
2017年頃にメルカリで購入して、リコーイメージングスクエアに点検に出して大きな不具合なし、と判断された良個体でした。
PENTAX MX 基本情報
発売年 | 1976年 |
シャッター 性能/仕様 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL中央重点測光 |
ファインダー | 視野率約95% 倍率約0.95倍 |
マウント | PENTAX Kマウント |
電池 | LR44/SR44 |
価格 | クロームボディ:48,000円 ブラックボディ:51,000円 |
販売年 1976年について
PENTAX MX1976年は、映画が豊作な年でした。
・カッコーの巣の上で
・タクシードライバー
など、1975年(前年)に終戦したベトナム戦争の影響を色濃く受けた作品など、世相を映した作品が人気を博しました。
当時の価格について
本体価格は定価で50,000円程度ですが、
当時の平均的な大学初任給が94,300円でした。
なお、写真のレンズ「PENTAX-M 50mm F1.4」の定価は29,400円。
合わせると大卒初任給1ヶ月分の給料と同程度の価格でした。
PENTAX MX レビュー
操作系など
フィルム巻き上げ・巻き取り
典型的な、機械式カメラの巻き上げ機構です。
分割巻き上げも可能。
巻き上げの感覚は程よくクラッチ感があり、個人的には好きです。
巻き取りもスタンダードなフィルムカメラと同様です。
後ろのストッパー解除ボタンを押し込んだ後、くるくる巻き取るだけです。
シャッター速度設定
軍幹部のダイアルから設定可能なスタンダードなタイプです。
Bと1秒〜1/1000秒まで設定可能。
絞り設定
レンズの絞りリングでコントロールします。
解放測光なので、回しただけだと実際に絞られません。
セルフタイマーレバーを逆向きに倒すと、プレビューモードになります。
※当然ですが、撮影時、シャッターが開いている間は絞られます。
PENTAX MX 良いところ
完全機械式
シャッターに関わるすべてが、完全に機械式です。
=露出計以外は、電気を使っていません。
これは、故障しづらさ=頑丈さ=長く使えることに直結しております。
実際、MXの兄弟機、MEなどの多くは、シャッターユニットの電子部分が故障している個体が多いです。
PENTAX MXは、露出計の故障はあり得るとしても、シャッター自体は歯車とゼンマイ、バネ等で構成されているため、トランジスタ等の電子部品の劣化でシャッターが切れなくなる心配はありません。
機械なので、メンテナンスさえすれば無限に使えるのです。
機械式一眼レフ 世界最小
世界最小の機械式一眼レフカメラです。
内部のひげゼンマイ等は、今の技術では作ることができない細さだそうです。
これだけの小ささなので、持ち運びで大きさを感じる事は少ないです。
ただし、真鍮製なので重さはあります。
この肩書で、所有欲は満たされます。
PENTAX Kマウントが使える
PENTAX-Mシリーズのオールドレンズは比較的球数も多く、
また現行のFAレンズも絞りリングがあるものはそのまま使う事ができます。
現行マウントで、フィルムが使える事は、今後どれだけカメラが長く使えるか、また年数が経った時にレンズの球数が減り、価格が上がるかどうか…等に密接に関わってくると考えます。
ファインダーが見やすい
一眼レフの中では、かなり見やすいファインダーとなっています。
上部にF値、右側にシャッター速度が表示されます。
シャッター速度の横にLEDがあり、そこで適正露出を確認できます。
撮影に必要な全ての情報がファインダー内部に出てくるため、集中して撮影することができます。
現行の電池が使える
LR44が使えるのですが、
なんとダイソーで4つ入り100円で売っています!
電池の運用費がかなり安く抑えられるというのも、PENTAX MXの魅力の一つです。
PENTAX MX 良くないところ
メインで使っているフィルムカメラなので、あえて悪く書く事は難しいのですが…
中古取引価格が高め
強いて言うなら、フィルムカメラの中でも良いデザイン(当時のクラシカルなデザイン)で、
球数もPENTAX SP等と比べて少ないため、値段が高めである事が挙げられると思います。
補修部品が無い場合がある
当時の部品の一部が現代の技術で作れない…など、
故障箇所によっては、修理できない可能性があります。
個体数も年々減っているので、状態が良いものは早めに確保した方が良いと思います。
作例
こちらの記事で紹介しております!
最後に
PENTAX MXは、機械式一眼レフカメラの一つの到達点だと思います。
電気式のシャッターではないため、修理すればずっと使えますし、
真鍮の小さくてずっしりした筐体も、きっと所有欲を満たしてくれます。
コンパクトで「機械」を感じて、なおかつクラシカルなカメラのデザイン。
フィルムカメラファンとしては、まだ生きている筐体があるうちに確保しておいた方が良いのでは、と思います。
ちなみに、PENTAX MX、当然公式のサポートは受けられませんが、カメラリペアショップ「長谷川工作所」さんで、未だにオーバーホール等取り扱っているようです。
(PENTAXの駆け込み寺とも言われるくらい、長年PENTAXフィルムカメラをしているようです)
愛されるカメラだからこそ、ずっと使えるような修理ビジネスも続いているのだと思います。
みなさんも、お迎えをぜひご検討ください。
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