はじめに
コンタックス時代に販売された、京セラのフィルムカメラ 。
レンズにCarl Zeiss製の鷹の目Tessarを搭載している贅沢な機種ですが、見た目はチープでかわいいコンパクトカメラです。
今回紹介する「KYOCERA TD」は、東京のカメラ屋のジャンク棚から救出しました。
ボロボロのコンパクトカメラ集団の中に紛れていたのですが、このカメラの正面を見て 「Carl Zeiss」の文字が目に入り、気づいたらレジまで持って行っていました。
KYOCERA TD 基本情報
発売年 | 1986年 |
シャッター 性能/仕様 | 1/8~1/500 |
露出 | プログラムAE |
AF仕様 | アクティブAF 1m~∞ |
ファインダー | レンジファインダー (ピント合掌ランプ有) |
電池 | 2CR5 6V |
価格 | 52,700円 |
販売年 1986年について
ソ連・チェルノブイリ原子力発電所事故が発生。
映画は、バック・トゥ・ザ・フューチャーが配給1位に。
アニメはドラゴンボール、めぞん一刻、聖闘士星矢等が1986年放送でした。
当時の価格について
KYOCERA TDの販売価格は、52,700円でしたが、
当時の大卒初任給は144,500円
月収の三分の一程度の値段だったようです。
そう考えると、別に今の高級コンデジとあまり変わらない気がします。
KYOCERA TD レビュー
操作系など
見ての通り、ほとんどボタンはありません。
左からスライド式の電源ボタンとセルフタイマー、シャッターボタンとフラッシュ関連のボタンがあるのみ。
AFだし、露出も自動なのでより撮影に集中できます。
露出について
自動露出ですが、基本晴天下で順光で撮影する上で正しく機能します。
残念ながら、露出調整やマニュアルで絞りやシャッター速度は設定できないので、逆光で撮ったりすると人の顔は完全に闇になります。
コントラストが高い所は、どこに露出が合っているかは完全に勘になるのでご注意ください。
AFについて
オートフォーカス機能がついています。
当時ものとしては意外と合いますが、半押しで少し待ってファインダーのランプがつくのを待った方が良さそうです。
また、最短撮影距離が1m〜となっているので、テーブルフォトには向いていないと思います。
自動シャッター開閉機構
シャッターカバーが、シャッターを切る瞬間に一瞬開いて、
シャッターから指を離すと、自動で閉じます。
多くのレンズ保護シャッターがついているカメラは、手動で解除するタイプが多いのですが、この自動開閉式であれば、取り出して電源をつけてシャッターを押すだけで撮影ができます。
KYOCERA TD の良いところ
レンズ(Carl Zeiss Tessar T* 3.5 35)の描写力が高い
鷹の目Tessarと呼ばれる、非常にシャープネスなレンズが搭載されています。
各方面から評判は高く、CONTAXの高級カメラと同レベルの描写をするようです。
撮影結果は、後半で。
カメラ本体が軽く、持ち歩きやすい
たったの320gです。
また、レンジファインダーなので、ペンタ部の出っ張りも無くグリップもシンプルな形状で、とにかく軽くて嵩張らず持ち歩きやすいです。
スナップシューターとしての性能は高いと思います。
(現代、フィルムを消費してスナップを撮影する酔狂な人は少ないと思いますが)
KYOCERA TD の良くないところ
筐体が安っぽい
オールプラのカメラなので、手に持った質感はかなりチープです。
このカメラから、この写真が出てくるとは…みたいなアンバランスな感じを楽しめます。
AF精度がイマイチ
遠景であれば、全くAFが合っているか気にする必要がないです。
そもそもAFが動作している感覚はあまりありません。
(特に音もしないので、ファインダーのランプで分かるのみ)
しかし、AFが思いもよらない所に合っている事もあり、このあたりは慣れが必要だと思います。
フラッシュが勝手に焚かれる
これはもう構造上どうにかならなかったのか…と思うのですが、多少暗いだけで自動でフラッシュが光ります。
なんなら、木陰など少し暗いところに入っただけで、勝手にフラッシュが動作します。
確かに、無いときちんと映らないケースもあるとは思うのですが、このフラッシュをオフにする操作が面倒なのです。
こちらの画像の NO FLASHを押しながらシャッターを切ることで、勝手にフラッシュが光ることを防ぐことができます。
画像を良く見て欲しいのですが、
NO FLASHボタン小さすぎでは無いですか?
これ、一度押すだけではなく、押しながらシャッターを切る必要があります。
普通に指からボタンが離れて、発光するケースが何度もありましたが、開発中に気付かなかったのか…。
慣れればどうってことないですが、別のカメラから戻ってきた時に忘れてまた光らせることうけあいです。
電池(2CR5 6V)が高い
これ、実店舗で買うと1つ1000円くらいは平気でします。
100均にも売っていません。
代用電池も、あまり良いものはないようです。
(充電式もありますが、4000円ほどします)
KYOCERA TD 写真作例
モノクロで撮影しました。
最後に
コンパクトで、自動巻きなのでまるでデジカメのようにテンポ良く撮影できました。
露出の精度も十分で、AFも十分実用レベルだと思います。
カメラ屋やハードオフのジャンクBOXに転がっていたら、是非とも拾ってあげてください。
それでは!
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