はじめに
中判フィルムカメラは、(昔の)ハイアマチュアの一つの到達点だと思います。
今回、Mamiyaの中判カメラ本体とレンズを、親戚より譲って頂くことになりましたのでレビューをしたいと思います。
Mamiya M645 1000s 基本情報
発売年 | 1976年 |
対応フィルム | 120フィルム(ブローニー) 220フィルム ※現在は生産終了 |
露光サイズ | 6 x 4.5 cm |
シャッター 性能/仕様 | 8s~1/1000 ムービングコイル式 電子制御式フォーカルプレーンシャッター |
ファインダー | ・ウエストレベルファインダー ・プリズムファインダー (視野率94%) ・PDプリズムファインダー (視野率94%) ・AEプリズムファインダー (視野率94%) |
露出仕様 | 絞り優先AE(専用ファインダー使用) |
重量 | 参考 ボディ:970g AEファインダー:510g |
電池 | 4SR44 / 4LR44 |
価格 | ※譲って頂いたセットの内容で記載 ・本体:85,500円 ・レンズ:マミヤセコール C 80mm F1.9:42,000円 ・AEプリズムファインダー:52,000円 =1976年当時の価格で、179,500円 |
※価格は、一緒についてきたカタログ等を参考にしました
販売年 1976年について
カメラ関係でいくと、「キヤノンAE-1」が発売して大ヒット。
洋画では「JAWS」が大ヒット(配給収入50億円) や「カッコーの巣の上で」などの作品が上映されました。
東急ハンズが設立されたのもこの年です。
また、ハガキの切手料金が20円に”値上げ”されたようです。
当時の価格について
1976年の大卒初任給は「94,300円」
約2ヶ月分の給料と同等の金額がしたと考えられます。
今のハイエンド一眼カメラも、それくらいしてもおかしくないと思いますので、
そのような立ち位置のカメラだったのだと思います。
バッテリーについて
未だに出ており、価格も十分すぎるほどに安いです。
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また、100円ショップ等で、LR44を4つ買ってきて、直列にして電池ケースに入れる事でも対応可能です。が、恐らくAmazonで10個入などで買ったほうが安くて手間が掛からないと思います。
Mamiya M645 1000s レビュー
Mamiya M645 1000s の良いところ
色々ありますが…
機械としての質感が良すぎる
通常のカメラと違って、奥行きのある形状をしています。
ハッセルブラットを彷彿とさせるデザインだと思いますが、恐らく意識して作ったのだと思います。
機械としてみると、巻き上げは手動になりますが「カチカチ」と小さな音とともにしっかりした感触を持って巻き上げができます。
まさに、フィルムを巻き上げているという強い感覚を使用者に与えます。
自動露出で撮影が楽
こんなにクラシカルなデザインなのに、自動露出(AE)ファインダーを使えばシャッター速度がオートで決まります。
露出計内蔵のカメラは数あれど、シャッター速度を自動で設定してくれる中判フィルムカメラで、このクラシカルな見た目のものは少ないのではないでしょうか。
当然、AEを使わずに自分でシャッター速度や絞りを決めることもできます。
ファインダー付け替えが可能
ぜひ使ってみてほしいのが「ウエストレベルファインダー」です。
ペンタプリズムを介さずに、上から覗き込むような形で構図を決めます。
映像投影範囲が大きい、中判ならではの撮影方法です。
ピント合わせの難易度が高いのが玉に瑕ですが、Mamiya M645 用のウエストレベルファインダーには標準でルーペを立ち上げる機能がついているので、それらを上手く使ってピントを追い込みます。
6×4.5という丁度良いフィルムサイズ
6×7になると勿体無い気がしてしまいますが、6×4.5だと120フィルムで15枚撮影可能なので、経済的にも比較的優しいと思います。
また、現像後のフィルムも、肉眼で十分内容が確認できるサイズ感なので、リバーサルフィルム等もルーペなしで内容を確認できます。
Mamiya M645 1000s の良くないところ
故障時、修理が困難
ハッセルブラットやライカは、修理業者が無数に存在しているためお金さえかければ修理が可能です。
しかし、Mamiyaのカメラはどこの業者も修理を嫌がる傾向にあります。
実際、メンテナンスの相談を都内のカメラ屋何店かにメールで送ったのですが、基本的に断られます。
※Mamiyaに強い修理業者に詳しい方は、コメントで教えていただけると助かります。
持病のプリズムファインダー劣化個体が多すぎる
市場に出ている多くのMamiya645 系のプリズムファインダーは、バルサム切れのようなファインダーの劣化が多くみられます。
※ほとんどの個体で見られる気がします。
もし中古で購入される方は、必ず確認を。
最悪、諦めてウエストレベルファインダーを使えば、プリズム不要なので問題なしです。
レンズが地味に高い
ちょと前まではレンズが捨て値だったのですが、FujiFilmのGFXシリーズが出たことにより、マウントアダプターでデジタル中判へMamiyaレンズをつける遊びが一部で流行ってしまいました。
これにより、Mamiya 645の標準レンジのレンズが、地味に高騰しています。
例えば、標準レンズ(80mm)で、一番明るい「mamiya-sekor 80mm f/1.9」は、状態が良ければ10万円近くもする有様です。
ただ、望遠レンズは相変わらず捨て値なので、フリマアプリ等で標準レンズ付きのMamiya 645を安めに購入して望遠レンズは別に買えば良いと思います。
逆(望遠レンズ付きのMamiyaを買って、別で標準レンズを買う)と高くつく可能性があるので注意です。
Mamiya M645 1000s 作例
使用フィルム
現像環境
自家現像しました。
現像タンク
ダークバック
薬剤関係
FUJIFILM 黒白フィルム・印画紙手現用定着剤 スーパーフジフィックスL 3/4ℓ用 SUPER FUJIFIX-L 3L/4L
現像後、像が浮かび上がっているのを見ると感動します。
自家現像、おすすめです。
使用レンズ
mamiya-sekor 80mm f/1.9
頂いたレンズです。
中判の標準レンズとしては異例のF1.9の明るさを達成しています。
このスペックの中判用レンズは、まだ現代でも数本しか出ていません。
mamiya-sekor macro c 80mm f/4
非常にシャープに写ります。
晴れている時は、何も考えずにこのレンズで撮ればカッチリ写っておすすめ。
作例のフィルムのデジタイズは、このレンズをα7iiに取り付けて、ネガを撮影しました。
※撮影後、フォトショップで色反転しています。
作例
銀座で適当に撮影した写真。
「mamiya-sekor macro c 80mm f/4」で撮影したと思われます。
「mamiya-sekor macro c 80mm f4」でF8あたりまで絞って撮影。
歩道橋の上から撮影しました。
ちなみに、拡大するとその情報量の多さが分かります。
ネガフィルムを手持ちで撮影しただけでこの情報量です。
ちゃんとした環境でスキャンしたら、もっと高解像度だと思います。
花です。
白黒との相性はあまり良くないですが、真っ白な花だったのでまだ分かりやすいですね。
「mamiya-sekor 80mm f/1.9」で撮影。
先ほどのマクロレンズと比べるとシャープさは無いですが、雰囲気は出ますね。
mamiya-sekor 80mm f/1.9」で縦撮影。
今回は一眼でネガを撮影して反転しているのですが、白いところ=黒いところ=センサーのノイズが乗るため、ちょっとザラついた感じになっています。
最後に
Mamiya M645シリーズは、同じ中判のハッセルブラットやPENTAX系と比べると、安価で売られている事が多く、手の出しやすい中判一眼レフカメラだと思います。
何より、そのメカとしての所有欲を満たしてくれる金属製ボディや、耐久性のあるシャッター構造など、入手できるうちに入手してしまいたいカメラですね。
自家現像と合わせれば、まだなんとかコストを抑えて撮影できるので、モノクロ写真で遊ぶのにおすすめです。
それでは!
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