はじめに
ハーフサイズカメラを、ずっと探していました。
ハーフカメラは、通常の35mmフィルムの半分の面積しか使わないため、撮影可能枚数が倍になります。
また、筐体が小さいためどこにでも気軽に持っていけます。
ハーフカメラを求めて街を練り歩いていたある日、ボロボロのCanon Demi が秋葉原のにっしんカメラで1000円で売られており、衝動買いしてしまいました。
軽く確認した所では、
・シャッターは切れるが、巻き上げが重い
・露出のダイアルが固すぎて、ISOの範囲が変わってしまう
など、確実にメンテが必要そうでしたが、
セレン光電池式の露出計は動いており、機械的なメンテでなんとかなるとの考えです。
その時は、あんなに大変なことになるとは思っていませんでした。
Canon Demi 基本情報
| 発売年 | 1963年 |
| シャッター 性能/仕様 | セイコーシャL、ライトバリュー・プログラム式、EV8(1/30秒、F2.8)~17(1/250秒、F22)とB |
| 露出計 | セレン光電池式露出計の指針位置に追針を合わせる追針合致式 |
| ファインダー | ケプラー型実像ファインダー、倍率0.41倍、視野率90% |
| 搭載レンズ | SH28mm F2.8(3群5枚構成) |
| 電池 | 不要 |
| 価格 | 10,800円 |
販売年 1963年について
ケネディ大統領の暗殺。
日本初の外資系ホテル、東京ヒルトンホテルが開業。
アニメ「鉄腕アトム」が放送。
また、流行歌は「こんにちは赤ちゃん」や坂本九の「見上げてごらん夜の星を」などでした。
まだ戦後の空気残しつつ、高度経済成長のあおりを受けていた時代です。
当時の価格について
本体価格は定価10,000円程度。
1963年のデータが無かったのですが、1962年の都市労働者の平均月収は「50,817円」でした。
庶民でも買える価格帯のカメラだったようです。
ちなみに、この後10年で都市労働者の平均月収は3倍「14万」まで上がります。
まさに、日本の高度経済成長を写してきたのだと思います。
分解修理

ダイアル周りがあまりにも動きが渋く、まともに使えない状態でした。
光学周りは全く問題なさそうだったので、ちょっと油を刺せば修理できる。最初はそう思っていました。
しかし、ちょっと隙間から油を差しただけで、シャッター羽に油が染み出してしまい、止む無く全分解に…。

本当は、シャッター羽もすべて外してベンジン等で洗浄するのがセオリーなのですが、
面倒なので、この状態で何度もパーツクリーナーをかけて油を洗浄しました。
更に、前のユーザーが無理やりシャッターチャージを回していたのか、部品が変形している事が発覚…。
メルカリでサンプル用のジャンク(レンズも曇っていて、カビ有、ボロボロのもの)を格安で買って、横で分解しながらパーツの変形をペンチで修正する作業が始まりました。
(気が狂いそうになります)
また、恐ろしいことに小さいバネ(髪の毛より細い線バネ)が断線している事が発覚し、補修用部品を針金で自作して断線箇所を繋いで巻き上げ周辺のテンションを維持するなど、かなりの大手術となりました。

このサイズのネジを無くさずに管理する必要があります…。
モルトも相当劣化していたため、張り直しが必要です。
私は100円ショップのフェルトをハサミで切って使いましたが、あまりにも面倒だったため、以下のような商品がおすすめです。
上記のような涙ぐましい努力によって、無事にCanon Demiは撮影できるレベルにまで修復することができました。
Canon Demi 初代 レビュー
Canon Demi 初代のデザイン


上の窓にある指標と、シャッター&絞りの指標を合わせることで、手動でプログラムオートのような動きをして撮影します。

見ての通り、シンプルでハーフカメラらしいかわいいデザインだと思います。
オリンパスのPENシリーズと異なり、可能な限り単純な仕組みでコストカットをしたであろうと考えられます。
プログラム式の露出に関しても、操作系を可能な限りシンプルにしようという心意気を感じます。
Canon Demi の携帯性

比較のため、500円玉を置いてみました。
(カメラのボタン電池をよくつけ外しするため、机にいつも常備されています)
これは、ほとんどのスマホよりも小さい面積だと思います。
ダイソーのコンデジケースにも余裕で収まります。
もちろん、適当なポケットにも入ります。
Canon Demi の経済性
ハーフカメラなので、通常の35mm判の倍撮影できるのもそうなのですが、セレン光電池を使っているので、カメラへ電池を入れる必要がありません。
電卓についている太陽電池のように、明るさを電力に変えて露出計の針を動かしているので、単体で使えます。
一部のフィルムカメラは、2CR5など高価な電池を消費するものもありますが、このカメラは全く無縁なのです。
Canon Demi 作例
撮影に使ったフィルム
※昔買っていた1年ほど期限切れのフィルムで撮影しています。
作例

名古屋出張へ持っていきました。
軽くて、旅行には最適ですね。
撮影していても、威圧感は全くありません。

名古屋は道に謎のオブジェクトが鎮座しがちです。




ピントを合わせるのはなかなか難しいです。
ISO400なのでなんとかなっていますが、ISO100のフィルムだと室内は厳しいと思います。
※ISOが高いほど絞れるので、ピントが合いやすくなる。
ゾーンフォーカスは初体験で、中々上手くいきませんでした。


結構よく撮れていると思います。



ハーフのくせに、かなり情報が残っています。

フィルムらしいザラツキですね。
車のディティールもよく表現できていると思います。


モルトが終わった状態だったので、自分で適当なフェルトを貼りました。
案の定、光線漏れしています。
雑なメンテをするとこうなりますが、まあこれもフィルム特有の味、ということで、よろしくお願いします。

新宿の都庁を撮りました。
多少絞ったとはいえ、この映りは素晴らしいと思います。
あのサイズのカメラから出てくる画像だとは思えませんね。

絞ればかなりよく映ります。
あと、ゾーンフォーカスの難しさも遠景なら絞って無限遠にしておけば良いので、
風景向きのカメラだと思います。

一応、近いものも勘で撮影することもできます。
(最短撮影距離が70cmくらいなので、なんとなくその程度の距離で撮影しました)



明らかに露出ミスです。
これもフィルムの味ということで
最後に
ハーフカメラって、オシャレな機種が多いイメージです。
機能よりも、デザイン性に振っています。
というのも、綺麗に写したければ35mmの一眼レフや中伴カメラできちんとピントと露出を合わせて撮影すれば良いので、今でいう写ルンですのように、旅行などで手軽に取りたいニーズに合わせて作られたと思います。
旅行先に持っていくのであれば、デザインはちょっとおしゃれにしたい。
そういった開発陣の思いが伝わりますね。
一点、ピント合わせだけは慣れませんでした。
目測(カン)で合わせなければなりませんが、こればっかりは現像後に見てみないと分かりません。
正直、ある程度ピントは割り切って、外での撮影メインで使ったり(絞ればパンフォーカスのようになる)使い道を選べば比較的撮れ高が稼げると思います。
今回のDemi 初代ではありませんが、様々なシリーズが出ています。


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