小型軽量APSCミラーレス SONY NEX-5N【since 2011】レビュー

デジタルカメラ

はじめに

皆さんは、カメラへどのようなスペックを要求していますか。
私は、撮影するケースによって異なります。

例えば、撮影に行くぞ!という気分の時は重いカメラバックを抱えて行きますし、精細なモノクロ写真を撮りたい時は、中判のフィルムカメラを背負って出かけます。

ただし、日常に潜むシャッターチャンスに対応するためには、いつでも気兼ねなく持ち歩けるカメラが必要だと考え、最終的に行き着いたカメラがあります。

それが、SONY NEX-5Nでした。
これなら、いつでも、どこでも持ち歩くことができます。

SONY NEX-5N 基本情報

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 正面

発売年2011年
センサーサイズAPS-C
シャッター
性能/仕様
30s~1/4000
電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター
※電子先幕式シャッター 選択可能
レリーズタイムラグ約0.02秒
最高約10コマ/秒
ISO感度100〜25600
AF仕様・コントラスト検出方式(25点)
・EV0-20 でAF作用
・シングル(AF-S)/コンティニュアス (AF-C)
・動体予測/フォーカスロック 有
・顔検出 有
ファインダーなし
背面液晶でのライブビュー専用機
背面液晶3.0型ワイド TFT駆動
タッチパネル(静電容量方式)
重量約210g(バッテリー・SD込:約269g)
電池NP-FW50
価格75,000円

まさに家電屋のカメラ。
新しい機能特盛です。

販売年 2011年について

日本では、東日本大震災が発生した年。
その他、金正日総書記が死去。
為替市場は、1ドル75円32銭まで円高となりました。

私は高校の修学旅行で沖縄に行っており、那覇空港で地震が発生し、しばらく空港で待機を余儀なくされた記憶があります。

当時の価格について

特に今と大きく変わらないと思いますが、当時の大卒初任給は、205,000円でした。
75,000円なので、現在のミドルクラスの一眼カメラと同じくらいの価格となっております。

SONY NEX-5N レビュー

SONY NEX-5N の特色

APS-Cサイズのセンサーを搭載しつつ、このサイズ、重量に抑えたSONYのエンジニアを褒め称えたいと思います。

約210g(バッテリー・SD込:約269g)

iPhoneはスティーブジョブズがかなり拘って作っていたと思いますが、
まさにそのように、嵩張る機能を削って、残した機能は性能を上げてブラッシュアップをする姿は、工業製品としてのこだわりを強く感じます。

SONY NEX-5N の良いところ

小さくて軽い

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 上から

とにかく、小さくて軽い上、その薄さ驚きます。
2011年には、このレベルのミラーレスが出ていた事に驚きました。

約210g(バッテリー・SD込:約269g)

脅威の小ささ、軽さです。
どこにでも常に持ち運べるサイズ感・重量なので、シャッターチャンスを逃しません。

会社へ持っていくカバンに忍ばせても良いし、小型のレンズを付けていればジャケットのポケットにも収まります。
首に掛けても、手で持っていても全然疲れません。

GR程とは言いませんが、それに近いサイズ感をレンズ交換式一眼カメラで達成しています。

高感度番長

当時は、高感度番長と言われたカメラでした。

例えば、NEX-5(1つ前の機種)はISO 12800までで、実用感度は1600程度でしたが、
NEX-5NはISO 25600まで用意されています。
実用感度としては、ISO3200程度だと思いますが、緊急用では6400も使えそうです。

軽くて小さい代わりに暗い、PZ16-50等のレンズを付けていても、夜でも撮影可能。
スナップには最適だと思います。

タッチパネルでのAF操作

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 背面液晶

背面液晶は、タッチパネル対応です。
何が便利かというと、ファインダーが無い=液晶しか使えないので、直感的にAFポイントを操作できる点が強いのです。

従来の一眼レフ機では、十字キーでポチポチして、中央付近にしかないAFポイントを必死に指定していましたが、NEX-5Nでは静電容量式タッチパネル(スマホと同様)で、画面上のどのエリアでもタッチしてフォーカスを合わせることができます。

ファインダーが乗っていれば、私はそれを使って撮影していたと思います。
何故なら、一眼レフを使い慣れているからです。
しかし、ファインダーが無いことで、液晶を使った撮影をせざるを得なくなり、使ってみると想像よりずっと撮影しやすくて驚きました。

AFの正確性

コントラストAFはよく遅いと言われます。
確かに、一眼レフの位相差AFよりは遅いと思いますが、それを補ってあまりある「ピントの正確性」がコントラストAFにはあります。

Canon 5D等を使っていると、中央一点はクロスセンサーでかなり信用できるのですが、端の方はラインセンサーとなっており、あまり信用して使えません。

その点、NEX-5NはコントラストAFなので、ピントが合うのは遅くても、合ったらほぼ確実に信用できます。
また、先代のモデル(NEX-5)より合焦速度が2倍になっているらしく、通常のスナップ等で困ることはほぼありません。

顔認識機能もあり、人物撮影にも強いです。

バッテリーの使い回しができる

古いカメラは、規格が古いバッテリーが使われていて、交換バッテリーや互換バッテリーが中々見つからない機種もあります。
しかし、NEXシリーズは大丈夫です。

恐らく、しばらくは新品が発売されるし、サードパーティー製も売られる事でしょう。

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SONY NEX-5N の良くないところ

電源ボタンが操作しづらい

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 上部ボタン

上記画像のように、スイッチが回すタイプなのですが、他のカメラと比べると、ボタンのつまみが手前側にあります。

多くの一眼はシャッターの下にある場合が多いです。
いちいち持ち替えて電源のON・OFFを操作する必要があるかので、このボタンの位置はいまいちです。

MEX-5N 本体でバッテリーが充電できない

α7シリーズができるので、勝手にできると思い込んでいましたが、NEX-5Nは本体にUSBケーブルを挿してもバッテリーを充電できません。

また、USB端子もMini-B端子(PSP等に使われていた端子)なので、最近はもう一般的ではありません。

折角小型軽量で、荷物にならないのにバッテリーチャージャーは別途持っていかなければならないのが玉に瑕です。
ただし、バッテリーはかなり小型のタイプなので、一泊二日くらいであれば、交換バッテリー+1つ持っていけば良いかもしれません。

液晶のコーティング剥がれ

これは、NEXシリーズもαシリーズもよく起こるのですが、液晶のコーティングが剥がれます。

私の個体も、最初は別になんともなかったのですが、上から保護シールを貼って、剥がす時に全てのコーティングも一緒に剥がれました。

このコーティング、剥がしても問題ないようなので、逆にコーティングが残っている箇所だけ養生テープの粘着力で剥がして、全てコーティングが剥がれた状態で保護フィルムを貼り、事なきを得ました。

SONY NEX-5N 作例

使用レンズ

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 沈胴式レンズ 電源ON

超小型の沈胴式レンズ。電源を入れると自動で繰り出して撮影可能な状態になる。
APS-Cの標準ズームレンズでは最小だと思われます。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 新緑

新緑ですね。いい色表現です。
キットレンズにしては、よく写っていると思います。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 灯り
SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 駅のホーム
SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 街並み

人工物や街との相性も良さそうです。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 噴水
SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 東京スカイツリー

夕方のスカイツリーです。
この辺りを歩くと、ついつい背景に入れがち。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 花

明るく補正していますが、完全に夜になって撮影しています。
花のディテールが残っていますね。

ISO3200で撮影した上で、PhotoShopで2段分近くアンダーを上げて、これだけ情報が残っています。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 電柱のシール

こちらも同様で、ISO2400のアンダー持ち上げ補正です。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 秋葉原の広告
SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 夜のビル
SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS ラーメン

このレンズは寄れるので、テーブルフォトにも良いと思います。

マクロの描写はそこそこです。
絞り込んだ方が良いですね。

2024/01/21 追加

散歩に持ち出したりして、若干作例が増えたので追加させて頂きます。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 秋葉原 ジャンク

秋葉原の怪しいパーツショップが連なるスペースです。
カメラが小さいと、こういった所で撮影しても目立たずに良いです。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS みかんと水滴

かなりアンダーを上げたのですが…一応破綻していない写りだと思います。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 歩道橋

記憶している青で現像しました。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 花

花も過不足なく表現できます。
これ以上を求めるなら、カメラではなくレンズを変えるべきですね。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS あひるの石像

濡れた石の質感も悪くはありません。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 住宅街の鯉

正直、動きものの撮影はかなり厳しいです。
ゆっくり動く鯉ですら、撮影は置きピンでした。
シャッターレスポンスも、普段からα9を使っている人からすると相当物足りません。。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 住宅街の平和の象徴

これも、アンダーをかなり上げておりますが、影のところ(鳥のおなかのところなど)も大きく破綻はせずに描写できています。

素体の良いセンサーだと思います。

SONY NEX-5N + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS 枯れゆく葉

枯れゆく葉っぱ。
私もきっとこんな感じで少しずつ枯れて緑の部分が失われてゆくのでしょう。

こちら、撮影時から色温度を少しも変えておりません。
上品な緑色が表れています。

最後に

SONY NEX-5Nは、2023年現在、数千円から入手することができます。
今回撮影で使用した「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」も1万円前後で入手可能です。

合計2万円を切る価格で、APS-C最小クラスの一眼カメラが手に入ります。
小さいもの好きな方には、おすすめです。

ただし、やはりフルサイズには表現力では勝てません。
もしお金に余裕があるのであれば、α7Cも選択肢に入ってくると思います。

NEX-5N、コスパは中々良いと思います。
おすすめです。

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