はじめに
「EF 35-70 f3.5-4.5」は、EOS650が出た時(最初のEFマウント)に、合わせて発売された標準ズームレンズです。
今となっては、捨て値で売られておりますが、EFレンズの一番手という事もあり、プラ筐体ながら作りはしっかりしており、ゴムの劣化も見られません。
当レンズは、EOS650のジャンクを買った時におまけとして付いてきましたが、
・35mm開始と、広角があまり撮れない
・USM(超音波モーター)ではなく、AFが遅くうるさい
・前玉の裏側にカビが生えており、掃除が面倒
など、しばらく放置していたのですが、
暇つぶしに分解清掃してカビを除去したついでに、レビューさせて頂きます。
Canon EF 35-70mm f3.5-4.5 基本情報
レンズタイプ | ズームレンズ |
焦点距離 | 35mm〜70mm |
F値 | F3.5~4.5 – F22~29 |
マウント | Canon EFマウント |
構成 | 8群9枚 |
最短撮影距離 | 39cm |
重量 | 230g |
フィルター径 | 52mm |
発売年 | 1988年 |
発売年 1988年について
当時1988年は、
・日本初の屋根付き球場「東京ドーム」が完成
・ファミコン用ソフト「ドラゴンクエストⅢ」が大ヒット
・世界最長のトンネル「青函トンネル」開通
・世界最長の鉄道・道路併用橋「瀬戸大橋」が開通
などがありました。
当時の価格について
27,400円でした。
当時の大学初任給は、153,100円でした。
キットレンズの価格帯ですね。
Canon EF 35-70mm f3.5-4.5 レビュー
質感・操作性
プラスチック筐体のレンズではあるのですが、初代EFレンズなだけあって、質には拘っているようです。
40年近く前のプラスチック筐体のレンズであるにも関わらず、ゴムの劣化はありません。
軽いながらも、手触りは良好で、質の良い樹脂を使っていることが伝わります。
操作性もこのサイズのレンズにしては悪くありません。
ズームリングと、フォーカスリング、AF/MF切り替えのスライドスイッチのみです。
スタンダードな操作性で、迷う人は居ないでしょう。
コストパフォーマンスの高さ
ジャンクボックスによく転がっているレンズだと思います。
各ブログを見ると、ハードオフで500円だったり…。
おもちゃとして拾っても苦しくないレンズです。
画質について
キットレンズのような扱いだったと考えられる当レンズですが、写りもキットレンズなりです。
作例は後半に貼っておりますので、後ほどご確認ください。
基本的にはしっかり絞って風景などを撮影する分には普通に写ります。
逆に、現行のキットレンズを持っている人が写りに期待して改めて買うレンズではありません。
おもちゃで買ったジャンクカメラに、とりあえずやっつけでレンズを付けたい…みたいな時には最適です。
焦点距離について
35mm始まりなのも、不人気の理由だと思います。
もう少し広角があると、撮影の幅が広がるのですが…
ただ、単焦点と比べると遥かに自由度があるので、足りない分は足を使ってください。
AFについて
USMモーター(超音波モーター)が使われていないため、AF音が結構うるさいです。
ここは、28mm始まりのUSMモーター搭載のレンズが普通にあるため、価格的な問題さえ無ければそちらを選択した方が幸せになれるでしょう。
この辺りのレンズは優秀です。
レンズのサイズについて
軽くて小さい(単焦点レベル)なので、カメラへ付けっぱなしにするにはこれ以上ないほど適しています。
また、普通に写るレンズではあるので、サッと取り出してスナップ的に撮影しても良いです。
外だと、静かな所でない限り、あまりAF音も気にしなくて良いです。
また、雑に扱って壊れたとしても、レンズそのものの値段が安いため、心を痛めずに済みます。
これ以上ない実用レンズではあります。
メンテナンス性について
「Canon EF 35-70mm f3.5-4.5」は、少なくとも前玉の分解はかなり楽でした。
全面のラベルを取ると、すぐに+ネジへアクセスできます。
前玉のヘリコイドも、手で回りますので、カニ目レンチがなくてもなんとかなります。
私もカビ掃除のために分解を試しましたが、特に失敗するような要素は無さそうでした。
描写・写りについて
使用した機材
Canon 5D 初代 (Classic)
2005年発売の、古いデジタルカメラです。
レビューはこちらから
Canon EF 35-70mm f3.5-4.5 [当レンズ]
川で撮影してきました
拡大
そこそこ写ってはいるようです。
色のりは悪くありません。
細かい描写も卒なくこなします。
ただし、めちゃくちゃシャープネスという訳でもありません。
よく言うと優等生。
悪く言うと、キットレンズらしい凡庸な写りです。
波を撮影しました。
凹凸がきちんと写っています。描写としては正しいのですが…
見た目以上に綺麗には写りません。
橋を撮影しました。
よくも悪くもない、普通の写りだと思います。
注意点は、必ず絞ること。
※絞らないと、ふわっとした写りになりがちです。
逆光にも、決して強くはありません。
フリンジも発生しています。が、拡大しないと目立たないのでこの年代のレンズにしては普及点かと思います。
きっちり絞れば、悪くない写りです。
雲や光の描写は悪くありません。
解放付近で撮影すると、周辺光量落ちが気になりますね。
Photoshopで簡単に補正できますので、あまり気にすることもありません。
フィルム時代では考えられなかったことですね。
最後に
私は、良いものだけを紹介して、絶賛だけするようなブログにはしたくありません。
高評価できないものも平等に紹介させて頂きます。
「Canon EF 35-70mm f3.5-4.5」は、描写で勝負しようとしても近年の安価な標準ズームレンズには及ばないと思います。
AFも遅く、うるさいです。
ただし、安さと言う取り柄があります。
例えば、初代5Dに付けて軽量お散歩レンズにしたり、αシリーズにマウントアダプタ経由で付けて遊んで見たり…
このレンズで本気で撮影しに行くと言うよりは、この甘い描写をトイカメラのように楽しむ心で、実用ベースでどんどん使っていく。
そんなレンズだと思います。
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